パパと読み聞かせを楽しもう <前編>

さいたま市でもイクメン育成講座「さいたまパパスクール」が開催されるなど、ここ最近、お父さんの子育て参加がすすんできています。
そこで今回のブックトークでは、さいたま市の2つの市立図書館から、おはなし会で男性語り手として活躍中のお2人をゲストに、
「お父さん目線」での絵本選びや読み聞かせの楽しさについて、
お話をうかがいました。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立桜図書館
児童サービス係 Cさん

司書歴25年の本選びのスペシャリスト。さいたま市立桜図書館の児童サービス係の頼れるリーダー的存在であり、おはなし会では数少ない男性語り手として活躍中。意外にもナンセンス系の話が得意なのだとか。 趣味はフットサル。高校生の男の子と中学生の女の子の父でもある。

さいたま市立中央図書館
児童サービス係 Fさん

年間2000冊の児童書に精通し、児童担当になって以来通算400回以上のおはなし会をこなす、司書歴19年のベテラン司書。空手、合気道の黒帯(修行歴25年)所有し、育休時の専業主夫体験をブログで発表(人気ブログランキング育休部門で年間1位)するなど、異色の経歴の持ち主。長女(小6)、次女(3歳)の父でもある。

※役職・所属・プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
おとうさん・パパ・おとうちゃん すてきな三にんぐみ  
「おとうさん・パパ・おとうちゃん」
作・絵:みやにし たつや
出版社:鈴木出版(1996年)
価格:1,100円(税別)
「すてきな三にんぐみ」
作・絵:トミー・アンゲラー
訳:今江 祥智
出版社:偕成社(1969年)
価格:1,200円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

市立図書館の児童サービス係として、「おはなし会」では数少ない男性の読み手で活躍中のお二人は、プライベートでも子育てに参加した経験を持つ“”先輩イクメンでもあります。そこで、今回はお父さん目線で選ぶ絵本ということで、いろいろお話をうかがいます。ではさっそく最初の1冊は、えーと、「おとうさん・パパ・おとうちゃん。」 ・・・・って、これはまたいきなりど真ん中なタイトルですねぇ(笑)。
ど真ん中でしょう(笑)。
当然、この本の主役は「お父さん」なんですが、「お父さん」って本当は家と仕事場とで別の顔があるじゃないですか?でも、ほとんどの子どもは家のお父さんしか知らない。 家ではのんびりゴロゴロしていても、仕事場ではキリっとした男の顔であることを、やっぱり知って欲しいわけですよ。お父さんとしては。
家でゴロゴロしている姿は仮の姿で、本当はお父さんスゴイんだぞ、と(笑)
確かに、子どもからすると、普段自分がいろいろしてもらっている「お母さんの大変さ」は実感できても、「お父さんの大変さ」は理解しにくいものかもしれませんね。
「お父さんだって、毎日いろいろ大変なんだぞ」っていっても、「ふーん、そうなんだ」程度だったりね。ま、そこが、お父さんの哀しいところだよね(笑)。
で、この本の話に戻るんですが、だからといってこの本は「お父さんはスゴイんだぞ!」という話ではないんです。
“家でキミたちが「お父さん」「パパ」「お父ちゃん」と呼んでいる人は、外では違う呼ばれ方をしているんだよ、知ってたかい?”
という感じで、肩に力を入れることなく「家とは違うもうひとつの顔が、お父さんにはあるんだ」ってことを、とても自然に子どもに伝えられる絵本なんですよ。
(絵本をめくりながら)本当だ。家では、お父さんだけど、仕事場では「先生」や「運転手さん」のような職業で呼ばれたり、「部長」や「課長」のように役職で呼ばれていたり、というフレーズが淡々と続くんですね。
あれ?コレって、ずっと昔に忌野清志郎さんがCMで歌っていた「パパの歌」に通じるものがありますね!
そうそう。「昼間のパパは男だぜ~」っていうアレでしょう?
ただ、基本的にお父さんは、家族が大事で一生懸命働いているわけで。大変さをわかって欲しいといいながら、無理にわからせようとは思ってはいないんですよね。
ちょっと矛盾に感じるかもしれないけど。
わかって欲しいけれど、自分がそうしたくてやっているんだから、わかってもらえなくてもそれでいい。
男のダンディズム、ってヤツだね。
そっか、で、この本を読み終わって最後に「パパはお仕事で何て呼ばれているの?」って聞かれて答えるだけだ。
パパ、カッコイイ~(笑)。

男のダンディズムといえば、紹介したいのがこの本、「すてきな三にんぐみ」です。
これはまた、表紙の絵とタイトルのギャップがスゴイ絵本ですねぇ~。
どうみてもステキとは言い難い、人相の悪そうな方々が並んでいますが。
しかもなんか武器まで持ってるし(笑)
そう、彼らはコワ~イ泥棒なんです。むしろ強盗に近い。とにかく彼らは、見ての通り、悪者でちっともステキなんかじゃない3人組なわけで。
この本は、一言でいってしまえば「ステキじゃない3人組」が「ステキな3人組」になるお話なんだけれども、これがね、なかなか深いんですよ。
そうだね。結果として「人のためになること」をして、「ステキな三にんぐみ」と呼ばれるようになるわけだけど、別に彼らは「ステキになろう!」と思って行動したわけじゃない。さっきのお父さんの話もそうだけど、見返りを求めていないんだよね。だからお話自体も淡々としていて、すごくクールな感じがするよね。
そうか、この本の「ステキ」は男性からみた「ステキ」なのか!
実は私、ラストまで読んでなんか物足りなさを感じたんですけど、それは女性の感覚で「ステキ」なラストを想像してたからなのかも。
ああ、確かに。考えてみると、すごく客観的な終わり方ですよね。子どもたちは幸せになったけれど、お姫様のお話のように主人公が幸せかどうかは書かれていない。
ただ、この3人組は子ども達にとっては間違いなくヒーローなんだよね。
だから最後に「ああいうこと」をしたわけでしょう?
子ども達が何をしたか、については、ここではナイショのお約束ですから(笑)。
まあ男ってのは、すごいことをしても、あえて名前も告げず去っていくのがカッコイイと思ってるところはあるよね。
そうそう、タイガーマスクしかり、スパイダーマンしかり。昔から、ヒーローは正体を隠す、っていうのがお約束だしね。スポーツにしてもそうだけど、スゴイ結果を出しても、そこまでの努力をことさら強調しない方がカッコイイ気がするんですよね。
そっか~、「結果そのものを褒められること」と、その「努力をほめられること」は別ものなんですね。私なんか結果はどうあれ、「頑張った私をもっと褒めて~!」て思っちゃいますけど(笑)。
でもこうして話してみると、こういう男性の目線と女性の目線での感じ方や価値観の差って、絵本選びにも出てくるのかなという気がします。
そうですね、男女で一刀両断はできないとは思いますが、いろんな価値観や見方で選ぶことは大事だと思います。そういう意味でも、今回はお父さん目線に限らず、いろいろな絵本をたくさんセレクトしてきました!
いろんな価値観で本を選ぶ・・、実は案外できていないかも。子どもが持ってきた本を、「え~、この本なの~。こっちにしなよ~」って変えさせた記憶が・・(汗)
読むのはお母さんですから、そこは仕方ないですよ。だからこそ、私たち図書館の児童係はこうして絵本選びのためのサポートをしたり、保育園や幼稚園に出向いて読み聞かせをしているわけです。
というわけで、私からは、あまりお母さんが選ばないような絵本をご紹介・・・
ああっ!すみません。今回はここまでということで。
お父さん目線でのユニークな絵本選びはまだまだ続きます。お楽しみに!
今回セレクトしていただいた本
おとうさん・パパ・おとうちゃん すてきな三にんぐみ  
「おとうさん・パパ・おとうちゃん」
作・絵:みやにし たつや
出版社:鈴木出版(1996年)
価格:1,100円(税別)
「すてきな三にんぐみ」
作・絵:トミー・アンゲラー
訳:今江 祥智
出版社:偕成社(1969年)
価格:1,200円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます


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