関西弁で絵本を楽しもう<前編>

前回の「思ってたのと違う!」に続き、中央図書館のA山さんとO田さんがゲスト。ユニークな絵本に目がないお二人と一緒にご紹介していく今回のテーマは、「関西弁で絵本を楽しもう!」。抑揚に富んだイントネーション、軽快でリズミカルな語り口。そんな関西弁の魅力が楽しめるユーモアたっぷりの絵本についてのブックトークを、前編・後編の2回にわたってお届けします。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立中央図書館
児童サービス係 A山さん

司書歴3年、厚いくちびると太い眉毛がチャームポイントのダジャレ好きな若手期待の星。テレビやDVDでは飽き足らず、落語やコントなどのライブにも足を運ぶ、筋金入りのお笑い好き。好きな絵本のジャンルはもちろんコメディ。

さいたま市立中央図書館
児童サービス係 O田さん

司書歴6年。好きなジャンルは翻訳絵本、趣味は近所のノラネコ観察。おはなし会で与えられた役は何でもこなし、その役への入りこみぶりと舞台度胸は、A山さんいわく「アカデミー賞間違いなしの女優」なのだそう。

※プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
ぼちぼちいこか あれこれたまご  
「ぼちぼちいこか」
作:マイク・セイラー
絵:ロバート・グロスマン
訳:今江 祥智
出版社:偕成社(1980年)
価格:1,200円(税別)
「あれこれたまご」
作:とりやま みゆき
絵:中の滋
出版社:福音館書店(2007年)
価格:900円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

前回は「思ってたのと違う!」のお話でご登場いただいた中央図書館のお二人ですが、今回は「関西弁で絵本を楽しもう!」をテーマにお話しいただこうと思います。
お国言葉、いわゆる方言が登場する絵本は数多くありますが、テレビなどで良く耳にする機会の多い関西弁は、比較的に読み聞かせしやすい方言かなと思うのですが。
そうですね。東北弁なんかは、文字でみると「どう発音すればいいの?」と、ちょっと迷ったりするのに比べ、関西弁はなんとなく、こう発音するのかな、みたいなのがわかるというのは確かにありますね。もちろん、東北弁もNHKドラマ「あまちゃん」のおかげで、だいぶイメージしやすくはなりましたけれど。
あと、どんな深刻なセリフも関西弁だと悲壮感がなくなってしまうのも、関西弁の面白さですよね。この「ぼちぼちいこか」は、もともとアメリカの作家マイク・セイラーの作品を翻訳した作品なんですが、これが標準語だったらここまでの面白さは出ない。関西弁に翻訳したことで魅力が増した、まさに訳の勝利ともいえる作品です。
のんびり、おっとりのカバ君が、消防士や船乗り、バレリーナなど、いろんな仕事に挑戦するんですが、ズッコケて失敗ばかり、というお話です。
なにをやってもうまくいかない、という悲惨な状況なのに悲壮感がなく、逆に面白おかしく感じられるのは、やはり関西弁ならではですよね。
「どうしたらいいんだろう?」には深刻に悩んでいる的なニュアンスがありますが、「どないしたらええのんやろ?」になると、いやいや、アナタ困ってないでしょう、とつっこみたくなりますもんね。関西弁になっていることで、悩むどころか、失敗して笑われている状況をむしろ楽しんでいるようにすら思えてきます(笑)
転んで笑われるような“はずかしい”場面でも、関西だと逆に笑いがとれて“これはおいしい”とニヤニヤしてしまう。関西弁にはそういう、“ダメダメを笑いに変えるチカラ”がありますよね。ボクがこの本を初めて読んだのは小学生の頃なのですが、カバくんのダメダメぶりがまるでお笑いやコントのようで、弟と二人で大爆笑したのを覚えています。

関西弁の絵本で私がオススメしたいのはこちら、「あれこれたまご」です。
スーパーに到着した10個1パックのたまごたちが、お客に買われ、自分たちが何になるのかを想像しながら、楽しくおしゃべりを繰り広げる・・・というお話なのですが、コテコテの関西弁をしゃべるたまごたちによる料理の実況中継が、とにかく楽しいんです。
関西弁による料理の実況中継・・・・、なんとなく、彦摩呂さんのグルメレポートを想像しちゃいました。「うわ~、まるで宝石箱や~」みたいな(笑)
あ、それ、わかります(笑)
料理の実況中継ということで、絵本には料理を作る場面がたくさん出てくるんですが、関西弁って擬音(オノマトペ)が多いじゃないですか?
そういえばそうかも。
「この道をピューっといって、チャーっと曲がって・・・」とか
「ドバーッといれて、ガーってまぜて・・・」みたいな表現しますね。
そういう関西弁ならではの表現力が、臨場感やシズル感となって、たまごたちの「新しいもの(料理)に生まれ変わることへのワクワク感」がよりクッキリと鮮明に伝わってくるんだと思います。
例えば標準語だと「ぼくたち何になるんだろう?楽しみだな」は、 関西弁だと「ぼくたち何になんねやろな?楽しみやな」。
抑揚のある関西弁の方が、なんとなくたまごのワクワク感じが伝わりますね。
でしょう?てんぷらの衣に姿を変えても、そこはやっぱりおしゃべりなたまご。
「ひゃー、あっつぅ!この油めっちゃあっつい!こりゃ気ぃつけなあかんな」なんて言ってくるわけです。標準語だとここまでキレのいい感じは出ませんよね。
これ読むと卵料理が作りたくなりますね。
読み聞かせ後、子どもと一緒にキッチンに立って、子どもに卵になりきってもらって、何ができるのか、たまごの気持ちを実況中継してもらっても楽しいかも!
「あ、粉が出てきよった!ホットケーキになるんかな?いやまてよ、あっ、てんぷら粉って書いた(て)ある。そうか、ボク、てんぷらになんねや!」
みたいな会話ができたら楽しいでしょうね。
絵本をきっかけに親子の会話が広がりますね。
しかしこうしてみると、関西弁の登場する絵本って、関西を舞台にしたおはなし以外にも結構あるんですね。
お国言葉が登場する絵本の多くは、おはなしの舞台や登場人物の出身地に関係する場合がほとんどなのですが、関西弁はそうでないものも結構あります。
最初に紹介した「ぼちぼちいこか」以外にも、外国の作品をあえて標準語でなく関西弁で翻訳した絵本もありますし。
あ、そのお話、ぜひお聞きしたいのですが、今回はここで時間切れに。
そこで、関西弁で翻訳した外国絵本についてのお話は、「関西弁で絵本を楽しもう!」後半に続きます。
今回セレクトしていただいた本
ぼちぼちいこか あれこれたまご  
「ぼちぼちいこか」
作:マイク・セイラー
絵:ロバート・グロスマン
訳:今江 祥智
出版社:偕成社(1980年)
価格:1,200円(税別)
「あれこれたまご」
作:とりやま みゆき
絵:中の滋
出版社:福音館書店(2007年)
価格:900円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます


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