散歩が10倍楽しくなる絵本

前回の「カミナリなんて怖くない!」より、大宮西部図書館のT山さん、O田さん、U川さんと一緒に全3回でブックトークをお届け中。高い空、色づく木の葉、上を向いても下を向いても楽しい秋は、親子で散歩を楽しむのにぴったりのシーズンですね。そこで今回は、「散歩が10倍楽しくなる絵本」をテーマに、普段なにげなく見ている景色や街の表情をひと味違った角度から楽しめる、フォト絵本をご紹介していきます。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立大宮西部図書館
児童・地域係 T山さん

司書歴23年。1920年代挿絵黄金期の絵本を中心としたアーティスティックな絵本を好み、音楽・芸術・文学への造詣が深い。その独自のセンスを発揮したユニークな絵本選びには、スタッフ間でも定評がある。

さいたま市立大宮西部図書館
児童・地域係 O田さん

司書歴19年。穏やかな物腰と渋いバリトンボイスが魅力で、おはなし会で時おり披露する“わらべうた”は、お母さんたちのハートをつかむこと間違いなし!ダンディな見た目に反し、ナンセンス絵本が大好きな一面も。

さいたま市立大宮西部図書館
児童・地域係 U川さん

司書歴9年。フィギュアスケートをこよなく愛し、読み聞かせの講師もこなす、おはなし会の人気者。子どもの心をつかむのが上手で、ある本の読み聞かせでは、お話にのめり込んだ子どもに群がられ埋もれたこともあるのだとか。

※プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
ぼちぼちいこか あれこれたまご あれこれたまご
「くものかたち」
作: フランスワ・ダヴィッド
訳: わかぎえふ
写真: マルク・ソラル
出版社:ブロンズ新社(2000年)
価格:1,500円(税別)
「まちにはいろんなかおがいて」
文・写真:佐々木マキ
出版社:福音館書店(2013年)
価格:800円(税別)
「ふゆめがっしょうだん」
作:長 新太
写真:冨成 忠夫/茂木 透
出版社:福音館書店(1990年)
価格:900円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

カミナリなんて怖くない!」に続き、大宮西部図書館をゲストに迎えてのWEBでブックトークが続くわけですが、今回は秋、ということで「散歩が10倍楽しくなる絵本」をテーマにお話しいただこうと思います。
「散歩」ですか。なるほど、秋は空も高く散歩やお出かけにもってこいの季節ですもんね。その散歩が楽しくなるような絵本、というとどんな作品がいいかなぁ・・・。ただ散歩をテーマにした絵本をご紹介しても面白くないですし・・・。うーん。
散歩・・・、秋・・・、高い空・・・。あ、そうだ!写真絵本の「くものかたち」はどうかな? CGなどの加工を一切していない、本物の雲の写真と文章だけのシンプルな構成の絵本なんですが、クマに見えたり、魚に見えたり、といったいわゆる“見立て遊び”が楽しめるので、秋の空を楽しむにはもってこいの1冊だと思いますよ。
(本をめくりながら)
これCG使ってないってことは、自然にできた雲のカタチってことですよね?
表紙の写真からしてそうですが、誰かが空の上でいたずらしたとしか思えないようなユニークなものばかり。これは思わず外に出て空を見上げたくなりますね!
あ!なるほど!
つまり「散歩が10倍楽しくなる絵本」というのは、読むと外に出かけたくなる、そんなきっかけになる絵本、だと考えればいいんですね。

だったら、この本「まちにはいろんなかおがいて」も面白いんじゃないかな?
街にある色んなものが「顔」に見える、というコンセプトの写真絵本なんですが、これを読んだ後に街を歩くと、いつもの景色がちょっと違って見えるという、面白い本です。
わ、ホントだ!顔に見える!
これも「くものかたち」同様、(写真に)何の手も加えていないんですよね?
表紙からして“信号機のボタンを撮影した一枚の写真”だってわかっているのに、もう“鼻がスイッチになったロボットの顔”にしか見えない。不思議ですよねぇ。
人の脳は、点や線などが三角形に配置されたものを見ると、顔と判断してしまう、っていいますからね。まぁ、でもそういう科学的な根拠は別として、単純に「顔」だと思ってみると、何の変哲もない一枚の写真が実にユーモラスなものに見えて楽しいですよね。
マンホールのフタが笑った顔に見えたり。車が怒った顔に見えたり。
いろんな表情を通して、街のいろんなモノが話しかけてくる気がしますね。楽しいなぁ。
今はデジカメやスマホで写真が手軽に撮れる時代ですから、この本をお手本にして、お子さんと一緒に“まちのいろんなかお”を探しにいくのもいいですね。
あ、それ、ナイスアイデアですね!たくさん集めて自分たちだけの「まちにはいろんなかおがいて」を作ったら楽しそう。これはまさしく、「散歩が10倍楽しくなる絵本」のテーマにぴったりの絵本ですね!こういう絵本、ほかにもありませんか?

じゃあ、私からはこちらの「ふゆめがっしょうだん」を。
ちょっと季節的には少し早いのですが、これから寒くなって外に出かけるのがおっくうな冬でも、こんな風に散歩を楽しんでいただけるかなと思って選んでみました。
ああ!これも面白いよね。
葉っぱが落ちた後に見られる“冬芽”がたくさん登場する科学絵本なんですが、どれもユーモラスな表情のものばかり。先の2冊同様、自分の目で見たい、探しに行きたい!という気持ちになる絵本です。
文章を書いているのは、絵本作家の長新太さん。子どもの心を揺さぶる独特な響きの文章とユーモラスな写真の組み合わせで、おはなし会で読むと、たいてい子どもたちの目が釘付けになりますね。
私も3、4歳くらいの子を対象にしたおはなし会読んだことがありますが、「パッパッパッパ」という言葉に心ひかれるみたいで、マネをして口にする子が結構いました。
冬芽って意識して見たことはなかったんですが、こうしてみるとなんというか、一つひとつに表情や動き、個性があるんですね。どれも話しかけてきそうで、“木の精”ってこういう感じなのかなぁ、なんて思っちゃいます。
最初に紹介した「くものかたち」もそうですが、自然は時として、まるで誰かがいたずらで作ったかのようなユニークなものを作り出します。今回ご紹介した絵本が、そうしたものを見つける楽しさ、また想像力を膨らませていろんなカタチやモノに見立てる楽しさを知るきっかけになれたらうれしいですね。
そうですね。絵本というと“おはなし”のイメージがあり、今回のように写真絵本を使ってこんな風に親子のコミュニケーションが楽しめる、というのは大きな発見でした。ぜひみなさんも、今回の絵本を上手に活用して、秋のお出かけを楽しんでみてくださいね。
今回セレクトしていただいた本
ぼちぼちいこか あれこれたまご あれこれたまご
「くものかたち」
作: フランスワ・ダヴィッド
訳: わかぎえふ
写真: マルク・ソラル
出版社:ブロンズ新社(2000年)
価格:1,500円(税別)
「まちにはいろんなかおがいて」
文・写真:佐々木マキ
出版社:福音館書店(2013年)
価格:800円(税別)
「ふゆめがっしょうだん」
作:長 新太
写真:冨成 忠夫/茂木 透
出版社:福音館書店(1990年)
価格:900円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます


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