なんだか眠れないそんな夜に

今回は、「眠れない夜に読みたい絵本」がテーマ。今年の3月にリニューアルオープンした春野図書館の男性トリオをゲストに迎え、「なんだか眠れない」そんな気分の子どもに読んであげたい絵本を、やさしく、楽しく、ユニークなど、さまざまな角度のアプローチから考えました。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立春野図書館
児童・地域係 A川さん

司書歴6年。登山で鍛えた野生のカンで、リサイクルショップをめぐってはお宝を掘り出すトレジャーハンター。五味太郎の絵本や参加型絵本が好きで、幼児に懐かれやすく、おはなし会では子ども達に囲まれることも。

さいたま市立春野図書館
児童・地域係 A松さん

司書歴23年。本の要塞と噂される部屋に住み、ブルーインパルスをこよなく愛する本の虫。一方、多趣味でフットワークが軽く、歴史や軍事から旬の映画やサブカルチャーまであらゆる話題に精通した博学ぶりは、まさに歩くトリビア。

さいたま市立春野図書館
児童・地域係 K風さん

図書館勤務7年、児童担当3年目。図書館での映画会実施に並々ならぬ熱意を持ち、仕事も速く何かと頼れるナイスガイ。お母さん方に安心感を与えるその天性の“お父さん感”から、あかちゃんおはなし会になくてはならない存在。

※プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」
作・絵:高野 文子
出版社:福音館書店(2014年)
価格:800円(税別)
「ふとんやまトンネル」
作:那須 正幹
絵:長野 ヒデ子
出版社:童心社(1994年)
価格:1,300円(税別)
「ねむれないふくろうオルガ」
作・絵:ルイス・スロボドキン
訳:三原 泉
出版社:偕成社(2011年)
価格:972円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

今回は春野図書館の男性トリオをゲストに迎え、「眠れない夜に読みたい絵本」をテーマにお話いただこうと思います。子どもってたまにどうやっても寝てくれない、という時があって、寝かしつけに苦労した経験をほとんどのママが持っているはず。そこで、そういう時におすすめの絵本があればぜひ教えていただきたいのですが、どうでしょう?
読み聞かせといえば、子どもの寝かしつけの定石ですから、おすすめの絵本はたくさんあり、どれを選ぶか悩ましいのですが、今回は数ある作品のなかから、アプローチの異なる3冊を選んでみました。ところで、「眠れない=眠るのが心配」とも考えられますよね。では子どもにとっての、眠る上での心配ごとって何だと思います?
うーんなんだろう。怖い夢とか、おねしょとかでしょうか。そういえば「おねしょしたらどうしよう」と思うと、なんだかドキドキして眠るのが怖かったこと、私も小さい頃にあったような気がします。
ですよね。そこで、怖い夢やおねしょの不安をやわらげてくれる絵本ということでおすすめするのが、この「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」です。タイトルの、「しきぶとん」と「かけぶとん」と「まくら」が、それぞれ「おれたちが守るからまかせろ」と安心させてくれるお話です。
表紙の男の子の表情に、子どもの不安な気持ちがよく表れていますよね。怖い夢をみたらどうしよう。寝ている間に昼間に転んだ傷が悪くなったらどうしよう。もらしたらどうしよう。子どもの不安はつきない。そんななか、「おれにまかせろ!」のセリフのなんと頼もしいことか。
「まかせろ。まかせろ。おれにまかせろ。」という、繰り返しでたたみかける感じがいいですよね。おはなし会で何回か読んだことがありますが、自分の身近なネタ、内容なので共感できるのでしょうか、子どもたちがすごく興味深そうに聞いていました。
かけぶとんさん、しきぶとんさん、まくらさん、ともに、一人称が「おれ」なので、お父さんが読むのにもいいですね。違和感がなくて読みやすいと思いますし、「まかせろ。まかせろ。おれにまかせろ。」というお父さんの声が、そのまま寝具たちの応援の声になって子どもの心を安心させてくれる、というわけです。
お父さんやお母さんからの「大丈夫だよ」に加え、下からは「しきぶとんさん」が、上からは「かけぶとんさん」が、そして耳もとでは「まくらさん」が自分の味方として守ってくれるという。これだけたくさんの応援を受ければ「きっと大丈夫だよね」と安心して眠ることができそうですね。

続いてご紹介するのはこちらの絵本「ふとんやまトンネル」です。子どもの頃、ふとんをトンネルにみたててもぐって遊んだ経験、ありませんか?主人公の男の子もその一人で、トンネルを通って不思議な体験をする、というワクワクドキドキのお話です。
ふとんの中でトンネルをつくって遊んでいると、お父さんに「もう寝なさい」と、ふすまを閉められてしまう。ふてくされた主人公が、トンネルをどんどん反対側にもぐっていき、たどりついたのはなんと原っぱ。しかも、同じようにふとんのトンネルからやってきた友達がパジャマ姿で遊んでいる、という子どもにとってはまさに夢のような展開が!
「ふとんでトンネルを作ると、ふとんやまの原っぱに通じてしまう」、という発想がいいですよね。子どもの頃って、おしいれとか、ふとんとか、暗くて狭い場所に、宇宙的な謎の空間のようなイメージを持っていませんでした?暗闇の向こうが、どこか知らない異世界につながっているみたいな。
あ、わかります!ここではないどこかに連れていかれるんじゃないか、という漠然とした不安みたいな感じ。ああ、なるほど、そういう不安も眠れない原因のひとつなのかもしれませんね。
でも、そういう不安や恐怖もこういう話を読むことで、「ふとんに入ることが異世界への冒険の始まり」と思えたら、楽しく眠れそうな気がしませんか?寝ると怖いことが起きる、のではなく、寝ようとすると不思議で楽しい現象が起こるかも!みたいに考えることで、積極的に眠ろうという気になるんじゃないかと。
積極的に眠る、という発想が面白いです!なるほど、「眠るのが楽しみになる」という目線で絵本を選ぶわけですね。ちなみに、ふとんやまトンネルを通ったとこで主人公はさらに不思議な体験をするのですが、この続きはぜひ実際の絵本でお楽しみください。

オーソドックスなアプローチですが、眠りたいのに眠れない、そんな子どもの気持ちにやさしく寄り添う絵本ということで、最後にご紹介するのはこちら「ねむれないふくろうオルガ」です。
森のふくろうオルガが、いつも通り片方の目をつぶって眠ろうとするのですが、どうしてもうまく眠ることができない。そこで困ったオルガは、いろんな動物に眠り方を聞いていく、というお話です。
え!ふくろうって片目ずつ眠るんですか!初めて知りました!
きっと「寝よう!」と頑張るから、体に力が入って眠れないんでしょうね。頑張って眠ろうとしているオルガがけなげで、読んでいくと「そんなに無理して眠らなくても・・・」って思えてきちゃいます。
いっそ、寝るのをあきらめる、というのもひとつの手ですよね。「そうか、今日は眠れないんだね」と寄り添ってあげることで、気持ちが落ち着き、力が抜けて自然に眠れることもあると思います。「無理して寝なくていいから、とりあえず横になって絵本でも読もうか」という時に、ぴったりの絵本ですね。
フクロウのオルガは、じゃあ、両目をつぶれば眠れるかな、とかいろいろやってみるんだけど、どうしても眠ることができない。登場する動物たちはみんなやさしくて、オルガの気持ちに寄り添ってあげて、自分たちの眠り方をそれぞれ教えてあげるんです。
眠れない子どもからすると、この眠れないふくろうオルガの気持ちがよくわかるだろうし、だからこそまわりの動物たちのやさしさにオルガと一緒に癒されるのでしょう。スロボドキンの色調とタッチで描かれる動物たちが、また本当にかわいらしくて、優しい感じが伝わってきますよね。
最後に、つぐみがとっておきの睡眠方法を教えてくれるのですが、それはまた絵本を読んでのお楽しみということで。今回ご紹介した絵本以外にも、眠れない夜におすすめの絵本はたくさんあります。私たち職員もお手伝いしますので、ぜひお近くの図書館で、お子さんにぴったりの絵本を探してみてはいかがでしょうか。
今回セレクトしていただいた本
「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」
作・絵:高野 文子
出版社:福音館書店(2014年)
価格:800円(税別)
「ふとんやまトンネル」
作:那須 正幹
絵:長野 ヒデ子
出版社:童心社(1994年)
価格:1,300円(税別)
「ねむれないふくろうオルガ」
作・絵:ルイス・スロボドキン
訳:三原 泉
出版社:偕成社(2011年)
価格:972円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます


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