目が釘付け!動植物の不思議な生態

子どもの好奇心や興味をかきたてる、自然の不思議がいっぱい詰まった科学絵本。今回は、「日本」をテーマにした絵本でご登場いただいた大宮図書館のO倉さんとA井さんを再びゲストに迎え、おススメの科学絵本をご紹介いただきます。植物好きのO倉さんを中心に、お二人が選んだ不思議な動植物の科学絵本をお楽しみください。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立大宮図書館
児童・地域係 O倉さん

司書歴6年、児童・地域係の頼れるリーダー。趣味は植物を愛でること。また花を生けるのも好きで、その持前のセンスを発揮し、季節に応じたさりげないディスプレイや看板づくりもO倉さんが手掛けることが多いのだとか。

さいたま市立大宮図書館
児童・地域係 A井さん

司書歴7年。やわらかな物腰と笑顔が印象的な好青年の見た目とは裏腹に、ついいろんなことに口を出してしまう小姑的な一面も。神社・博物館めぐりが趣味で雅楽を愛するなどセンスも渋く、隠れた一面が何かと多い異色の存在。

※プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
「むしをたべるくさ」
文:伊地知 英信
写真:渡邉弘晴
出版社:ポプラ社(2008年)
価格:1,200円(税別)
「むしこぶみつけた」
文・写真:新開 孝
出版社:ポプラ社(2016年)
価格:1,500円(税別)
「きのこ ふわり胞子の舞」
文・写真:埴 沙萠
出版社:ポプラ社(2011年)
価格:1,200円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

大宮図書館のお二人には、前回のブックトーク(「日本語っていいな、楽しいな」「絵本で楽しむ、和のこころ」)で「日本」をテーマに個性派揃いの絵本をご紹介いただきましたが、今回の科学絵本でもお二人ならではのユニークな視点とセンスでどんな絵本をご紹介いただけるのか、とても楽しみです!
Mさんから「ユニークな科学絵本を!」というオーダーをいただきましたので、今回は、私が好きな「植物」をキーワードに、ユニークな生態の動植物の科学絵本をピックアップしました。「植物」といっても、ご紹介する3冊のうち、本当に植物といえるのは実はこの1冊「むしをたべるくさ」だけなのですが(笑)
唯一の「植物」が食虫植物というのが、なんともO倉さんらしい!(笑)。
でも、食虫植物ってなんだか独特のホラー感がありますよね。「恐怖の人食い植物!」みたいな。植物って水と光合成だけで生きている“か弱い”イメージだったので、初めて食虫植物の存在を知った時はものすごいショックでした。
この本では、ワラジムシがハエトリグサに捕まるところや、ハチがモウセンゴケに溶かされていくところなど、食虫植物の捕食の瞬間や不思議な生態を大画面写真で見ることができます。なかには「うわぁ・・・」となるようなグロテスクなものもありますが、こわいもの見たさなのか、大人も子どもも思わず見入ってしまう絵本です。
そうなんですよ。この前も、この絵本を読んだ子に「ほかにも食虫植物の本ありませんか?」って聞かれましたし、子どもたちの反応はすごくいいです。怖さよりも「世の中にはこんな不思議な植物があるんだ!」という驚きや感動の方が大きいんでしょうね。
確かに!子どもにとっては、可憐で美しい花の写真集よりも、ラフレシアとかウツボカズラのような不気味で不思議な花の本の方が圧倒的に面白いですもんね。それに食虫植物の得体の知れない不気味さは、ハリーポッターに登場する“魔界の植物”のようで、大人の私でも興味をそそられます。
あ、それよくわかります、マンドラゴラみたいなイメージですよね。(笑)
食虫植物に限らず、子どもって大人が「えっ!」「げげっ!」と思うような生き物に興味を持つことって結構ありますよ。ゴキブリの本を探している子もいましたし。
あ、私も聞かれたことあります。夏休みの自由研究でゴキブリを飼ってみたいから、飼い方の出ている本はありませんかって。
えー、お母さんとしてはイヤだなぁ。
でも、まさか、ゴキブリの飼い方が載った本なんてないですよね?
それが、あるんですよ。すごいでしょう、図書館って。(笑)
今はインターネット検索で何でも調べられる時代ですが、昔は調べものといえば図書館でしたからね。かくいう私も、この科学絵本「むしこぶみつけた」で、子どもの頃からの謎が解けたわけですが。

むしこぶ?え、この表紙の写真って、何かの植物の実じゃないんですか?
そう思うでしょう?よく葉っぱとかを見ていると、たまにこういう丸いものがついていて、子どもながらに「実なのにおかしな所についているなぁ」と思い、中を空けてみるとそこに入っていたのはなんと“虫”!でも、これが一体何というものなのか、もうずっと長い間わからずにいたのですが、図書館の科学絵本で写真を見た瞬間「これだ!」と。
とはいえ、この本も2016年と最近出たばかりで、虫の本はたくさんあっても“虫こぶ”の本はさいたま市の図書館全体でも極めて少ないんです。ですから、O倉さん同様、見たことはあっても名前は知らない、という人の方が多いのではないでしょうか。
で、肝心の“虫こぶ”の正体はというと、本によると「虫には不思議な力があって、植物に虫こぶを作らせる」とあり、基本は寄生の一種のようです。虫の刺激で植物が異常成長してできるのが“虫こぶ”で、外敵から守ってくれてしかも栄養も取れるため虫にとってはいいことづくし。植物には迷惑な話かもしれませんが。
この本では様々な“虫こぶ”の写真を見ることができますが、思わず鳥肌が立つような不気味なものから、芸術的に美しいものまで、その色や形は実に様々。表紙のように一見おいしそうな実に見えるものもあるので、うっかり口にすると大変なことに!
うわー、なんと恐ろしい。考えたくないです!それにしても、さっきの「むしをたべるくさ」では食べられる側にあった虫が、「むしこぶみつけた」では、植物を自分たちの都合のいいように手玉にとっている。自然界を生き抜くための動植物の知恵や戦いには、凄まじいものがありますね。

そうですね。動植物ではないのですが、自然界を生き抜く知恵という点では、“きのこ”の生態もなかなかユニークで面白いですよ。いろいろな“きのこ”の胞子放出の瞬間を見ることができるこの絵本「きのこ ふわり胞子の舞」では、知られざる“きのこ”の子孫を残すための知恵や工夫を知ることができます。きっと驚かれると思いますよ。
図書館にも図鑑を含め“きのこ”の本はいくつかありますが、ここまで美しい写真で胞子の舞う瞬間が見られる本はなかなかありません。森の中でふわーっと舞い上がる胞子の様子はためいきが出るほど幻想的で、まるでファンタジー映画のワンシーンのようでしょう?
“きのこ”が胞子を出す瞬間を初めて見ましたが、こんなに幻想的だとは!胞子が妖精の粉に見えます!(笑)。雨の時に胞子の袋をふくらませ、雨粒で胞子を吹き上げるものや、傘が解けてなくなるまで胞子を出し続けるもの。みんなそれぞれ、胞子という子孫を残すために頑張っているんですねぇ。
そうなんです。この本を見ていると“きのこ”がこれまでと違って見えてくるでしょう?私自身の経験ではないのですが、過去のおはなし会での記録によると、予想以上に子どもたちの食いつきが良かったようで、「うちの子、そんなにきのこ好きだったかしら」というお母さんの声もあったようです。
シイタケやエノキなど、スーパーで“きのこ”を見ることはあっても、自然に生えている状態で見ることはほとんどないですからね。この本にあるような、森にひっそりと生えた“きのこ”たちがささやくように胞子を吐き出す幻想的な光景、私も見てみたいなぁ。
ふふふ、Mさん、森でなくてもおうちで胞子の舞を見ることはできますよ。
この本の最後の方に、作者の植物写真家、埴沙萠さんが市販のシイタケやシメジを使った胞子の舞の撮影方法を解説してくれていますので、お子さんと一緒に試してみてはいかがでしょうか?
わぁ、ぜひやってみたいです!今回ご紹介いただいた科学絵本を通じて知った、昆虫、植物、菌類の生態は、不気味だったり不思議だったり、幻想的だったり、といずれも子どもの好奇心を刺激するユニークなものばかり。自然界で繰り広げられる生命の不思議な世界を、みなさんもぜひ楽しんでみてくださいね。
今回セレクトしていただいた本
「むしをたべるくさ」
文:伊地知 英信
写真:渡邉弘晴
出版社:ポプラ社(2008年)
価格:1,200円(税別)
「むしこぶみつけた」
文・写真:新開 孝
出版社:ポプラ社(2016年)
価格:1,500円(税別)
「きのこ ふわり胞子の舞」
文・写真:埴 沙萠
出版社:ポプラ社(2011年)
価格:1,200円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます