親子の会話が広がる絵本

「読み聞かせ」というと、「読み手が聞き手におはなしを読む」というのが一般的ですが、いつもは聞き手となる子どもたちが一緒になって参加できる、そんな絵本の楽しみ方もあるのだとか。
そこで今回は、「パパと読み聞かせを楽しもう <前編><後編>」でおなじみの「お父さんコンビ」のお二人にご登場いただき、親子の会話が広がる絵本の楽しみ方についてのお話をうかがいます。

今回のブックトークゲスト

さいたま市立桜図書館
児童サービス係 Cさん

司書歴25年の本選びのスペシャリスト。さいたま市立桜図書館の児童サービス係の頼れるリーダー的存在であり、おはなし会では数少ない男性語り手として活躍中。意外にもナンセンス系の話が得意なのだとか。 趣味はフットサル。高校生の男の子と中学生の女の子の父でもある。

さいたま市立中央図書館
児童サービス係 Fさん

年間2000冊の児童書に精通し、児童担当になって以来通算400回以上のおはなし会をこなす、司書歴19年のベテラン司書。空手、合気道の黒帯(修行歴25年)所有し、育休時の専業主夫体験をブログで発表(人気ブログランキング育休部門で年間1位)するなど、異色の経歴の持ち主。長女(小6)、次女(3歳)の父でもある。

※役職・所属・プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
ぼくのおべんとう わたしのおべんとう  
「ぼくのおべんとう」
作・絵:スギヤマ カナヨ
出版社:アリス館(1996年)
価格:880円(税別)
「わたしのおべんとう」
作・絵:スギヤマ カナヨ
出版社:アリス館(1996年)
価格:880円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

今回は、いつもの「聞き手」とはちょっと違うカタチで読み聞かせを楽しむ、ということで、絵本の紹介だけでなく楽しみ方を含めてご紹介いただけるんですよね。

はい。ということでご用意したのがこちらの2冊。
青いのが「ぼくのおべんとう」で、赤いのが「わたしのおべんとう」。
この2冊を1度に読むのがポイントなんです。表紙を見てください。
何か気づきませんか?

あ!わかった!これ、ハンカチで包んだお弁当だ!
そっか、男の子と女の子のお弁当だから、「ぼくのおべんとう」と「わたしのおべんとう」なんですね。最初のページをめくる瞬間が、お弁当箱をあけるときのワクワク感とシンクロしますねぇ。どれどれ・・・

あーっ、ダメダメ!まだめくっちゃダメです!
これはこうやって、ハイ、Fさん(「わたしのおべんとう」を渡す)。
で、私がこう持って、と。まずは私から、いっただっきまーす。
パカーーーーーーーーーン!

わー男の子は、のり弁当だぁ。!
からあげも入ってる!おいしそーー!

のり弁もおいしそうだけど、こっちのお弁当だって負けないわよー!(笑)
ジャーン!

こっちの女の子のお弁当はサンドイッチかぁ。デザートのイチゴも入ってる!

この2冊、見ての通り同じ作家さんが描いたものなんですが、お弁当を食べる子どもの気持ちがそのまま文になって、食べながら進んでいく絵本なんです。
進むペースも同じなので、2人が交互に読むと、お弁当を一緒に食べている実況中継が楽しめるんですよ!

すごーい!なんだかお昼のお弁当タイムみたいで、ワクワクしてきます。
これは「お話を聞く」のとは違う楽しさがありますね!
読み聞かせにこんなアイデアがあったなんてビックリです!
「ごっこ遊び」の要素もあって、コレ、絶対に子どもは喜びますね!

おもしろいでしょう?
おはなし会でCさんがこれをやったのを見て、僕もびっくりしました。
しかも途中におもしろいしかけがあるんです。
Mさん、お友達とお弁当を一緒に食べるときって、何かしませんか?

え?もしかして、とりかえっこ?
えー、できちゃうんですか!

できちゃうんですよー!ホラ。
ここの部分、2冊がリンクしてるんですよ。

うわ、ホントだ。親子で1冊ずつ持って交互にかけあうのも楽しそうですけど、姉妹や兄弟でやっても楽しそうですね。

そうですね。おはなし会では、こうして読み手が二人でかけあうのを子どもたちが「おいしそう!」「食べたーい!」とかワーワー言いながら楽しむんですが、おうちで1人で1冊ずつ持って読んだ方が、お弁当を食べている気分が高まるかもしれませんね。

おはなし会で子どもたちの前で読むと、あっという間におかずがなくなりそうな勢いだもんね(笑)。

読み聞かせの途中に子どもが参加してくると、お話が脱線してしまうことが多いんですが、これはお弁当を食べる感想がそのまま言葉になっているので、会話もストーリーもしっかり楽しめますね!

「パパと読み聞かせを楽しもう <前編><後編>」でご紹介した本同様、子どもの反応がとても良い本なので、パパの読み聞かせの入門としてもオススメの1冊だと思います。

今回のお話の中ではあえて触れなかったしかけもありますので、ぜひ2冊セットでお子さんと一緒に楽しんでみてくださいね。

今回セレクトしていただいた本
ぼくのおべんとう わたしのおべんとう  
「ぼくのおべんとう」
作・絵:スギヤマ カナヨ
出版社:アリス館(1996年)
価格:880円(税別)
「わたしのおべんとう」
作・絵:スギヤマ カナヨ
出版社:アリス館(1996年)
価格:880円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます