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さいたま市立図書館の読み聞かせイベントで人気の、テーブルパペット人形劇団「オン・サンタ」主宰の楽葉(らくよう)サンタさんをゲストに迎え、2回目となる今回のテーマはズバリ、「おじいちゃんと読みたい絵本」。絵本と読み聞かせのスペシャリストのおじいちゃん世代代表の楽葉さんに、おじいちゃんと孫の絆が深まる読み聞かせについてお話をうかがいました。 |
今回のブックトークゲスト | |
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着ぐるみ児童劇団の人形・小道具担当から、公立図書館員に転身。児童サービス係を経て、中央図書館副館長を最後に、2009に定年を迎える。退職後は、おはなし会のゲストとして活躍するかたわら、身近な材料で作る“幼児が使えるパペット”づくりにも力を注ぐ。孫との人形遊びが一番の楽しみ、と語るおじいちゃん世代を代表する、絵本と読み聞かせのスペシャリスト。 ★手づくり人形劇 テーブルパペット「劇団オン・サンタ」ホームページ http://on-santa.com/ |
※プロフィール内容は取材当時のものです
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「モチモチの木」 作:斎藤隆介 絵:滝平二郎 出版社:岩波書店(1971年) 価格:1,470円(税別) |
「おじいちゃんだいすき」 作・絵:ロブ・ルイス 訳:かねはらみずひと 出版社:ほるぷ出版(1997年) 価格:品切れ |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます
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「イクメン」という言葉が代表するように、いまや子育てはお父さん参加があたり前になってきていますが、さらに最近では「イクジイ」といって、育児に参加するおじいちゃんも増えてきているのだとか。 そこで今回は「おじいちゃんと読みたい絵本」をテーマに、おじいちゃんと孫の絆が深まる絵本や読み聞かせについてご紹介いただきます! |
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ふむ。これは楽だね。 つまり、ボクが孫に読んで「これは!」という絵本を紹介すればいいということかな。 そうだな、まず、おじいちゃん世代の方から「読み聞かせにオススメの絵本」を聞かれたら、真っ先に選ぶのはこの本だね。 |
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あっ!「モチモチの木」。 教科書にも載った名作ですよね。そうきましたか!(笑)。 うんうん。確かにこのお話は、女性の声より男性の声、それも、ちょっとしわがれた渋い声の方が断然しっくりきますもんね。 |
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斎藤隆介の骨太な文章、滝平二郎のクッキリとした影絵。この力強さはまさに、いぶし銀の語り口にぴったりの絵本だと思うよ。おじいさんと二人きりで暮らす臆病な男の子、という設定の話だから、読む側のおじいちゃんにとっても、孫にとっても、感情移入しやすく共感できるという点でも、おすすめの絵本だな。上手に読もうとする必要はないけれど、下読みを何回かして、ゆったりと読んでほしいね。 |
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おじいちゃんは「じさま」に、孫は甘ったれの「豆太」に自分をうつしだす。そうやって二人の気持ちとシンクロすることで、クライマックスのあの名場面の美しさ、ラストの「じさま」のセリフに重みが出てくるわけですね。 |
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その通り。クライマックスといえば、あの名場面の絵の月は、1971年の初版では今の「二十日の月」ではなく、三日月で描かれていたんだ。それが「丑三つときに三日月が昇るのはおかしい!」と指摘され、滝平二郎は不本意ながら描き直しをさせられることになったそうだ。 |
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そうだったんですか。じゃあ、私が子どもの頃に読んだ「モチモチの木」は、「二十日の月」に差し替わった後のものだったんですね。でも、真っ暗な夜空に浮かぶ、鋭くひんやり光る三日月に照らされたモチモチの木も、またステキでしょうね。 |
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うん。それが画家のイメージだったんだろうね。ところで、初版の原画が最近見つかったらしい。新聞の写真で見たけれど、ボクは三日月の方が好きだな。 ところで、この「じさま」、実はボクとほぼ同じ年の64歳なんだ。ほら、最初のここの部分にちゃんと書いてあるだろう? |
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あら、ホント・・・って、ええっ!楽葉さんと「じさま」って同じ年なんですか!? うーん、私の中の「じさま」のイメージだと、もっと年齢が上だと思っていました。 |
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ははは。だよねぇ。迫力のある「じさま」じゃないからねぇ、ボクは(笑)。 どっちかというとボクは、もう1冊の絵本「おじいちゃんだいすき」のおじいちゃんに近いかな。 |
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どれどれ。ふむふむ。(本を読みながら) これはまた、「モチモチの木」の「じさま」とエライ違いですねぇ(笑) 「じさま」が仲代達也なら、こっちはさしずめ高田純次といったところでしょうか。 |
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うまい!(笑)。いい加減で、役に立たなくて、超てきとう。 まあ、困ったじいさんだろ?なにしろ、やること、考えることが、孫と同じレベル、いや、それ以下だな。(笑)でも、子どもからすると、絶対に楽しいのは、威厳のある怖いじいさんより、こういう“しょうもないじいさん”だよな。なにしろ同じレベルで遊んでくれるんだから、友達みたいなもんだ(笑) |
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「こういうおじいちゃんがいい!」と感じることで、子どもたちは孫目線で主人公のフィンリーと共感する。ああ、だからタイトルが「おじいちゃんだいすき」なんですね! |
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うん。うちの孫もこの本が大好きでね。「こまったじいさんだよなぁ」なんて言っては、よく笑いながら一緒に読んでいるんだ。「モチモチの木」よりもリラックスした気分で、ハチャメチャなおじいちゃんを面白がって読んで欲しいな。 でも、母親目線でみると手のやける子どもが二人になったようなもの。とてもじゃないけど、「おじいちゃんだいすき」とは言えないよね(笑) |
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確かに、お母さんとしては、推奨したくない「孫とおじいちゃんのスタイル」ですねぇ。孫と一緒になって部屋を散らかしてゴロゴロしているのを見たら、私だって絶叫しちゃいます。「二人とも、いい加減にしなさーい!」って(笑)でも、こういうおじいちゃんだからこそ、「ボクとおじいちゃんだけの秘密」というか、友情にも似た、絆が生まれるのかもしれませんね。 |
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ところで、「おじいちゃんだいすき」みたいな、元気なおじいちゃんが登場する絵本って、実はあまりないんだよ。 絵本に出てくる老人で元気なのは、だいたい“おばあさん”(笑) |
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あはは。まぁ、女性は男性より長生きって言われますもんね。でも、今はおじいちゃんも元気な時代!今回ご紹介した絵本は、どちらもおじいちゃんの存在感たっぷりの絵本。おじいちゃんとお孫さんとの絆づくりに、どうぞお役立てくださいね! |
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「モチモチの木」 作:斎藤隆介 絵:滝平二郎 出版社:岩波書店(1971年) 価格:1,470円(税別) |
「おじいちゃんだいすき」 作・絵:ロブ・ルイス 訳:かねはらみずひと 出版社:ほるぷ出版(1997年) 価格:品切れ |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます