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世界中で星の数ほどある絵本の中には、作者や国が違うのに、ストーリーが良く似た“そっくりさん”が存在します。今回は、そんな絵本やおはなしの“そっくりさん”をテーマに、親子の会話が広がる絵本の楽しみ方について、テーブルパペット人形劇でおなじみ、読み聞かせの大ベテラン、楽葉(らくよう)サンタさんとブックトークを繰り広げます。 |
今回のブックトークゲスト | |
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![]() テーブルパペット人形劇団 |
着ぐるみ児童劇団の人形・小道具担当から、公立図書館員に転身。児童サービス係を経て、中央図書館副館長を最後に、2009に定年を迎える。退職後は、おはなし会のゲストとして活躍するかたわら、身近な材料で作る“幼児が使えるパペット”づくりにも力を注ぐ。孫との人形遊びが一番の楽しみ、と語るおじいちゃん世代を代表する、絵本と読み聞かせのスペシャリスト。 ★手づくり人形劇 テーブルパペット「劇団オン・サンタ」ホームページ http://on-santa.com/ |
※プロフィール内容は取材当時のものです
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「まほうつかいのノナばあさん」 作・絵:トミー・デ・パオラ 訳:ゆあさふみえ 出版社:ほるぷ出版(1978年) 価格:1,400円(税別) |
「まほうつかいのでし」 作:大石真 絵:柳原良平 出版社:学研教育出版(2007年) 価格:1,200円(税別) |
「まほうのなべ」 作:ポール・ガルドン 絵:晴海 耕平 出版社:童話館出版(1998年) 価格:1,300円(税別) |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます
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絆アベニューの編集として絵本に関わるようになって、つくづく驚くのはその数の多さ。昔からのロングセラーに加え、日本をはじめ世界中で毎年新しい作品が増え続けているわけでしょう。今世界に何冊の絵本が存在するのか、考えるだけでめまいがしそうです(笑) |
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世界中でとどのくらい絵本があるかなんて、想像もつかないなぁ。 まぁ、星の数ほどあるからこそ、作者や国が違うのに、ストーリーが良く似た絵本が存在するんだと思うけど。 |
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以前、「本をはさんで親子で話そう」でとりあげた、「たべられたやまんば」と「三枚のおふだ」のような関係ではなく? |
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いや、ここでいう「よく似た話」っていうのは、“昔話の再話によるバリエーション”ではないんだ。昔話などの同じモチーフを使って、作者も国も設定も違う一見別の話のようにみえながら、「あれ?この話、どこかで聞いたぞ」という、そういう関係の絵本がある、って話のことなんだよ。 |
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絵本の“そっくりさん”というわけですね。うん、これは、おもしろそう! では今回は、そんな似ている絵本やおはなしの“そっくりさん”をテーマにお話を進めていきましょう。では楽葉さん、早速「子どもにもわかりやすくて、親子で楽しめる“そっくりさん”絵本」をご紹介ください! |
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いきなりの細かい注文で・・・(笑)。 「親子で楽しめる話がモチーフになっている、似たようなおはなし」ねぇ・・・。 あ、ボクの大好きな絵本作家、トミー・デ・パオラのこれなんかピッタリだと思うけど、どうかな? |
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ふふ。さすが達人。応えてくれると思ってました(笑) えーと、「まほうつかいのノナばあさん」ですか。では早速拝見。 (ページをめくりながら)ふんふん、なるほど。“おっちょこちょい” “魔法使い” “止める呪文がわからない” “○○があふれかえる” あたりがキーワードなわけですね。 |
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そうそう。「出したのはいいけれど、止め方がわからず大失敗」といえば、なにか、そっくりな話があるだろう? |
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えーと、あ!「まほうつかいのでし」だ!私の場合は、絵本ではなく、ディズニーのアニメ「ファンタジア」の方ですが。ああ、もう「タララ ラッタラッタ ララララ~」って音楽が頭の中を駆け巡ってます(笑) |
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ははは。Mさんは、そっちが浮かんだか。確かにそれもあるね。 この絵本の元になった「まほうつかいのでし」は、フランスの文豪ゲーテの原作とされているけれど、止める呪文を忘れて大変なことになる”というのは、昔話でよく使われるパターンなんだ。だからほかにも似た話があるだろう?ノナばあさんと同じ、「鍋」が登場する話で・・・ |
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わかった!「まほうのなべ」でしょう?グリム童話の「おいしいおかゆ」、といった方がピンとくるかな?こうして3つのおはなしを比べてみると、たしかに“そっくりさん”といえますね。でもベースが同じでも、こんな風に違うおはなしができるのは面白いですね! |
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そうだね。“鍋から食べ物があふれてくる”部分は同じでも、グリム童話では“おかゆ”だが、「まほうつかいのノナばあさん」はいかにもイタリアらしい食べ物になっている。「まほうのなべ」では、止める呪文を忘れたお母さんのあわてぶりがおもしろいね。 |
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“行きはよいよい、帰りは怖い”っていうパターンもそうですね。 あ、じゃあ、このモチーフをちょっと変えて、鍋から出る食べ物を、子どもの「好きなもの」に変えたら面白いかも! 街中にあふれ出る、カレー、ハンバーグ、ラーメン・・・なんてどうでしょう? |
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ああ、そりゃいいね!ボクも今度、孫とやってみよう。そっくりといえば、古典落語の「死神」なんかも、もともとグリム童話の「死神の名付け親」をベースにしたもので、オチも落語家によっていろいろあるらしい。同じモチーフでもアレンジで違う味わいになる、まさにいい例といえるね。 |
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似ているおはなしを読み比べることで、アレンジのコツをつかみ、新しいおはなしをつくってみる。読み聞かせが進むと、そんな楽しみ方も出てきます。絵本やおはなしの“そっくりさん”はまだまだたくさんあります。ぜひ、みなさんも見つけてみてくださいね! |
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「まほうつかいのノナばあさん」 作・絵:トミー・デ・パオラ 訳:ゆあさふみえ 出版社:ほるぷ出版(1978年) 価格:1,400円(税別) |
「まほうつかいのでし」 作:大石真 絵:柳原良平 出版社:学研教育出版(2007年) 価格:1,200円(税別) |
「まほうのなべ」 作:ポール・ガルドン 絵:晴海 耕平 出版社:童話館出版(1998年) 価格:1,300円(税別) |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます