みんなでいっしょにやってみよう!

今回ご登場いただくのは、桜図書館のおはなし会で活躍中のF川さんとM松さん。プライベートでは、それぞれ2人のお子さんを持つベテランママでもあります。そんなお2人をゲストに迎え、「みんなでいっしょにやってみよう!」を合言葉に、聞くだけでなく子どもたちも一緒に参加できる読み聞かせ絵本について、いろいろお話をうかがいました。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立桜図書館
児童・地域係 F川さん

司書歴24年、14歳と5歳の女の子を持つベテランママ。趣味はバイオリン(アマチュアオーケストラ在籍)とバイク(250cc)で、学校訪問のおはなし会ではバイオリンを片手に、弾き語りならぬ“弾きすばなし”を披露してくれることも。

さいたま市立桜図書館
児童・地域係 M松さん

司書歴8年。江戸川乱歩の少年探偵シリーズや、外国のSFにハマった少女時代を経て、2児のママに。おはなし会の前には必ず、7歳の長女と3歳の長男を実験台(?)に読み聞かせしてその反応を見ながら絵本を選ぶとのこと。

※プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
かずあそび ウラパン・オコサ サラダでげんき  
「かずあそび ウラパン・オコサ」
作:谷川 晃一
出版社:童心社(1999年)
価格:1,300円(税別)
「サラダでげんき」
作:角野 栄子
絵:長 新太
出版社:福音館書店(1992年)
価格:800円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

「みんなでいっしょにやってみよう!」が今回のテーマ。(お話を)聞くだけでなく、子どもたちも一緒に参加できる、そんな読み聞かせのための絵本について、いろいろとお話をうかがいたいと思います。
こどもたちが一緒になって楽しめる絵本だと、「おまたせクッキー」なんかどうでしょう?読み進むうちに子どもたちが声をあげて参加してくるので、おすすめかな、と思うんですが。
なるほど、「おまたせクッキー」ときましたか。あれも、おはなしで盛り上がるみたいですね。でも、実は前回取り上げてしまったばかりなんですよ~(笑)。 というわけで、ここはぜひ別の絵本をお願いします。
おや、すでに紹介済みでしたか(笑)。うーん・・・・「みんなでいっしょに」ねぇ・・・・。
あ!あります! あります!
かずあそび ウラパン・オコサ」っていう数あそびの絵本なんですが、みんなで声をそろえて数を言うので、今回のテーマ「みんなでいっしょにやってみよう!」にピッタリだと思いますよ!
みんなで声をそろえて数を言う?
「ここにヒヨコが何匹いるかな~?」
「5ひき~!」
みたいな感じですか?
いやいや、それじゃ面白くないでしょう。この絵本での数字の数え方にはルールがあって、出てくる数字を「1と2だけで数える」んです。
1が“ウラパン”で、2が“オコサ”。
3は「2+1」だから、“オコサ・ウラパン”。
4は「2+2」で“ウラパン・ウラパン”。
ちなみに、「ウラパンとオコサが混ざっているときは“オコサ(2)”を先に言う」というのもルールです。すべての数字を「2(オコサ)+2(オコサ)+2(オコサ)+・・・・・」と数えていくと、奇数の場合は最後に1(ウラパン)が残るので付け足す、という感じで考えるわけです。
えーと、ということは、5は「2+2+1」で“オコサ・オコサ・ウラパン”で、6は「2+2+2」で“オコサ・オコサ・オコサ”、7は「2+2+2+1」で“オコサ・オコサ・オコサ・ウラパン”・・・あ、偶数は“ウラパン”のみで、最後に“オコサ”がつくのは奇数ってことか!
でも、このルール、子どもにはちょっと難しくないですか?
確かに、絵本の最初のあたりはみんな「?」な顔をしていますね。でも、「ルールをきちんと理解して、どんな数を言われてもパッと答えられる」レベルである必要はないんです。数字はページを進むごとに1つずつ増えていくので、4なら“オコサ・オコサ”、次の5は1多いから“オコサ・オコサ・ウラパン”という風に、前の数字から次の数字が予想できるだけで、この数遊びを楽しむには十分なんですよ。
そもそも、私が読み聞かせでこの本を選ぶのは、数のルールを理解させるためではなく、「みんなで声をそろえていっしょに同じことを言うと楽しいよね!」という、とてもシンプルな理由から。だから、ちょっとわかりにくいかな、というときは、「鼻はひとつだから“ウラパン”、目は2つで“オコサ”。じゃあ、口は?」という具合に聞くと、ほとんどの子が大きな声で「ウラパン!」と答えてくれます。要は“なんとなくわかる”でいいんです。
理解させようとして、「8は?」「12は?」とか言い出すと、算数の問題みたいになって楽しくなくなってしまいますもんね。
あ、じゃあ答えが、1(ウラパン)か2(オコサ)になる2択問題で、身近なものの数でクイズを作ったら面白いかも!たとえば、洗濯物を畳みながら、シャツは?→“ウラパン”、靴下は?→“オコサ”みたいに。
面白いですね!
ごはんを食べながら、おはしは?→“ウラパン”、おちゃわんは?→“オコサ”。
ああ、これなら、保育園くらいの子でも楽しめそう。「今日のおやつは1人“オコサ”よ~」みたいな会話も楽しそうですね。“ウラパン・オコサ”を知らない人からみると、「?」な会話でしょうけど(笑)。
1とか2という数字だとそれほど楽しくないのに、“ウラパン・オコサ”を使うとなぜか楽しい。どこの国の言葉かわからない、魔法の呪文のような不思議な響きのせいかもしれませんね。
ほかに「みんなでいっしょにやってみよう!」でおすすめの絵本はありませんか?

では、私からはこの絵本、「サラダでげんき」を。
かずあそび ウラパン・オコサ」に比べると、みんなで一緒に、の部分はほんの少しだけなのですが・・・・・。でも我が家の読み聞かせでは、最後は必ず「はい、ご一緒に」でやるポーズがあるんです。

ああ、最後のあのポーズね(笑)。あれは思わずやりたくなっちゃうポーズよね。
病気のお母さんのために“りっちゃん”がサラダを作っていると、いろんな動物たちがやってきてます。「これを入れると元気になるよ」という動物たちのアドバイスを聞きながら、最後には具だくさんのおいしいサラダができる、というおはなしです。

私自身が、子どもの頃に読んで大好きだった絵本で、サラダの具がどんどん豪華になっていく様子に、とてもワクワクしました。
自分が母親になり、子供に読んでみたところ思った以上に食いつきが良くて。
最後は必ず、みんなでこの“ガッツポーズ”をやるんです。
「サラダでげんきになりまし・・・・」でためて、「た!」でポーズ(笑)

「ハイ、ポーズ!」って感じですよね。楽しそうな様子が目に浮かびます。
「みんなで同じポーズを決める」のって楽しいんですよね!
しかも、絵本の登場人物(動物?)と同じポーズだから、読みきかせに参加している子どもたちとおはなしがひとつになって、グッと絵本との距離が近く感じられますね。

さっきの「かずあそび ウラパン・オコサ」の「声を合わせて数を数える」のもそうですが、みんなでそろって一緒に声を出したり、ポーズをとっているときの子どもたちってすごく楽しそうなんですよ。さらに会場全体に一体感があると、読み聞かせ側としても楽しいし、すごく気持ちがいいんです。

そうか!あの楽しさ、気持ちよさの正体は“一体感”なんですね!音楽やマスゲームなんかまさにそうですが、今回ご紹介いただいた2冊は“シンクロ”する楽しさがプチ体験できる絵本と言えそうですね。

みんなで一緒に、は人数が多いほど楽しいので、おうちで読まれるなら、お父さん、お母さん、お子さん、みんなそろってがおすすめです!
ぜひみんなでノリノリで、あの“げんきもりもりポーズ”を楽しんでくださいね。
きっと家族の思い出になりますよ!

今回セレクトしていただいた本
かずあそび ウラパン・オコサ サラダでげんき  
「かずあそび ウラパン・オコサ」
作:谷川 晃一
出版社:童心社(1999年)
価格:1,300円(税別)
「サラダでげんき」
作:角野 栄子
絵:長 新太
出版社:福音館書店(1992年)
価格:800円(税別)
 

※全てさいたま市の図書館で借りることができます