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夏の風物詩のひとつ、夕立。大きくふくらんだ入道雲をひきつれて、やってくるのは泣く子も黙るカミナリ様。そこで、今回は大宮西部図書館のみなさんと一緒に、「カミナリ様」が登場するユニークな絵本」についてブックトークを繰り広げます。ゴロゴロと遠くの方から太鼓の合図が聞こえたら、おへそを隠して全員集合!カミナリ様のユーモラスなお話を親子で楽しみながら、笑いで怖さを吹き飛ばしちゃいましょう! |
今回のブックトークゲスト | |
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![]() さいたま市立大宮西部図書館 |
司書歴23年。1920年代挿絵黄金期の絵本を中心としたアーティスティックな絵本を好み、音楽・芸術・文学への造詣が深い。その独自のセンスを発揮したユニークな絵本選びには、スタッフ間でも定評がある。 |
![]() さいたま市立大宮西部図書館 |
司書歴19年。穏やかな物腰と渋いバリトンボイスが魅力で、おはなし会で時おり披露する“わらべうた”は、お母さんたちのハートをつかむこと間違いなし!ダンディな見た目に反し、ナンセンス絵本が大好きな一面も。 |
![]() さいたま市立大宮西部図書館 |
司書歴9年。フィギュアスケートをこよなく愛し、読み聞かせの講師もこなす、おはなし会の人気者。子どもの心をつかむのが上手で、ある本の読み聞かせでは、お話にのめり込んだ子どもに群がられ埋もれたこともあるのだとか。 |
※プロフィール内容は取材当時のものです
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「せんたくかあちゃん」 作・絵:さとう わきこ 出版社:福音館書店(1982年) 価格:800円(税別) |
「ドラキュラーってこわいの?」 作・絵:せな けいこ 出版社:小峰書店(2008年) 価格:1,100円(税別) |
「カミナリこぞうがふってきた」 作・絵:シゲリカツヒコ 出版社:ポプラ社(2010年) 価格:1,200円(税別) |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます
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もくもくと入道雲が沸き立ち、白と青のクッキリとしたコントラストがまぶしい夏の空。でもその入道雲がひとたび空を覆うと、ゴロゴロ・・・という太鼓とともにやってくるのが、泣く子も黙る“カミナリ様”。そこで今回は「カミナリなんて怖くない!」と題し、笑いで怖さも吹っ飛ぶ、ユニークなカミナリ様の絵本をご紹介いただきます。 |
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カミナリ様が主人公でなくても良いのなら、私のおススメは「せんたくかあちゃん」です。主人公のかあちゃんはとにかく洗濯が大好きで、着るものだけでは飽き足らず、動物や自分の子どもたちまでジャブジャブ洗って、洗濯物と一緒に干しちゃうんです。見開きいっぱいに干された洗濯物のイラストは、見ているだけでも楽しいでしょう? |
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おお、これはまたなんとも豪快ですねぇ。そして、洗濯物のところどころに、裸で干されている子どもたちを発見! ん?裸?ヘソまるだし・・・・ はっ、もしかしてコレを狙ってカミナリ様が落ちてくるとか?(笑) |
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ふふ。正解です。でも、この話がおもしろいのはここからなんです。 なにせ「せんたくかあちゃん」ですから、カミナリ様だろうがなんだろうが洗濯しちゃいます。その後どうなるのか、ここでは詳しくは語りませんが、子どもたちやカミナリ様が入り混じって、てんやわんやの大騒ぎ。あっと驚く結末が待ち受けています。 |
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今から30年以上前の作品ですが、お話の展開の面白さで、子どもたちからは驚きの声や笑い声があがる、おはなし会でも人気の絵本です。たくましい昭和のかあちゃん、を思わせる主人公に、どこか懐かしさを感じるお母さんも多いようですよ。 |
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細かいことは考えず、洗濯したいと思ったら問答無用でタライにつっこむ豪快さ。大量の洗濯物を抱えて大股で笑いながら歩く姿は、まさに“肝っ玉かあちゃん”そのもの。こんなたくましいかちゃんがそばにいたら、カミナリ様の怖さもふっとんじゃいますね(笑) |
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カミナリが登場する絵本ということで、私からご紹介するのは、せなけいこさんの「ドラキュラーってこわいの?」です。表紙やタイトルからは、まさかカミナリが登場するとは誰も予想しないだろうということで、意外性を狙って選んでみました(笑) |
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せなけいこさんといえば、オバケとか妖怪が登場するお話を数多く書いていますよね。確かその中にカミナリ様の絵本もあったはず。そこにこあえてこの本を持ってくるとは、なんという変化球(笑)。 |
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でしょう?(笑)。ただ、カミナリが登場するユニークな絵本、というのにはピッタリなんですが、ドラキュラーがカミナリにひどい目にあわされるお話なので、「カミナリなんて怖くない!」というテーマには逆行してしまうかも・・・。 |
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いやいや、カミナリの怖さなんてドラキュラーのヘソのインパクトに比べたら、もはやどうでもいいレベルかと(笑)。それに、貼り絵で描かれたカミナリの子どもたちは、せなけいこさんならでは、どことなく抜けた感じが子どもたちの笑いを誘いますしね。 では、最後に「これぞ笑えるカミナリ様の絵本」という1冊をご紹介いただけますか? |
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おまかせください!では、私からはこの作品「カミナリこぞうがふってきた」をご紹介します。 絵といい、内容といい、「これぞ笑えるカミナリ様の絵本」にふさわしい、インパクトのある1冊だと思いますがいかがでしょう? |
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こっ、これは!まさしく直球ストレートですねっ!(笑) 色づかいやイラストに使われているモチーフがオリエンタルで、すごく華やか。なんというか、ジブリの「千と千尋の神かくし」に通じるものを感じますね。 カミナリこぞうの大きくてムチムチっとした感じなんかも、「坊」を彷彿とさせますし、この世界観、私、大好きです! |
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作者のシゲリカツヒコさんは、もともとイラストレーターで、妖怪とか日本の神様の本を出している方なんですが、純和風というよりオリエンタルな雰囲気の色づかいで、絵に独特な世界観がありますよね。 |
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イラストだけじゃなくて、内容もすごく衝撃的ですよね。カミナリこぞうが落ちてきて、その衝撃の頭がアフロになっちゃうんですよ。アフロですよ。アフロ(笑) |
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U川さん、大事なことだから2回いいましたね。ええ、大事です、アフロ(笑) いや冗談はさておき、このオリエンタルなイラストに加え、想像の斜め上を突き抜けたバカバカしさ。ダンスィと呼ばれる、常時テンション高めのお調子者系男子にはたまらない組み合わせですよ、これは! |
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かつて小学生男子がドリフに夢中になった、あの面白さに通じるものは確かにありますね。アフロでカミナリ様、といえば、高木ブーという世代ですから(笑) 絵本なんだけど、展開が非常にマンガ的でユニークだよね。 |
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最初に紹介した「せんたくかあちゃん」「ドラキュラーってこわいの?」と違い、想像の世界だけでなく、ランドセルを背負った小学生や学校の教室、家、クラスメイトなど現実の世界もリアルなタッチで描かれているので、小学生のお子さんはより共感できて楽しめるかもしれませんね。 |
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途中、学校の教室にカミナリこぞうがやってくるんですが、そこでの展開はまさにドリフ!カミナリがゴロゴロドーンと鳴っても、この絵本に出てくるみんなのチリチリ頭を思い浮かべれば、怖さも半減すること間違いナシです! |
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「カミナリなんて怖くない!」をテーマにお送りした、今回のブックトーク。ご紹介いただいた絵本は、どれもカミナリ様がユーモアたっぷりに描かれたものばかり。親子で大笑いして、カミナリの怖さなんて吹き飛ばしちゃいましょう! |
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「せんたくかあちゃん」 作・絵:さとう わきこ 出版社:福音館書店(1982年) 価格:800円(税別) |
「ドラキュラーってこわいの?」 作・絵:せな けいこ 出版社:小峰書店(2008年) 価格:1,100円(税別) |
「カミナリこぞうがふってきた」 作・絵:シゲリカツヒコ 出版社:ポプラ社(2010年) 価格:1,200円(税別) |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます