絵本で楽しく!ひなまつり

立春を過ぎ、 寒さの中にも春の足音が聞こえてくると、女の子のいるお家では「ひなまつり」の準備が始まります。そこで今回は、日本一の人形の町として名高い「岩槻」の図書館から女性お二人をゲストに迎え、「お雛様」をテーマにしたブックトークを繰り広げます。「こんにちは、お雛様。また会えましたね」。うれしい1年ぶりの再会がもっと楽しくなる、そんな絵本を岩槻図書館のお二人と一緒にご紹介します。
今回のブックトークゲスト

さいたま市立岩槻図書館
児童・地域係 T井さん

司書歴13年。6歳の女の子と3歳の男の子のママ。手遊びうたやわらべ歌が得意で、子どもたちをのせるのが上手く、岩槻図書館児童サービスの要的存在。絵もおはなしも“パンチ”のある作品の絵本が大好き。

さいたま市立岩槻図書館
児童・地域係 K子さん

司書歴22年。好きな絵本はナンセンス絵本。オールマイティーに仕事をこなし、何でも相談できる頼れる児童サービス係の元締め的存在。物知りでしっかり者のイメージに反して、おっちょこちょいな一面もある愛されキャラ。

※プロフィール内容は取材当時のものです

今回セレクトしていただいた本
もりのひなまつり ひみつひみつのひなまつり ならんだならんだ!おひなさま
「もりのひなまつり」
作・絵:こいで やすこ
出版社:福音館書店(2000年)
価格:800円(税別)
「ひみつひみつのひなまつり」
作・絵:鈴木 真実
出版社:講談社(2015年)
価格:1,500円(税別)
「ならんだならんだ!おひなさま」
作:中島 妙
絵:奥村 かよこ
監修:戸塚 隆(人形の東玉)
出版社:ひさかたチャイルド(2005年)
価格:1,500円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます

今回は「お雛様」がテーマ。さいたま発の親子情報サイト「絆アベニュー」としては、やはりこの町の図書館からゲストをお迎えしないわけにはいきません。というわけで、日本一の人形の町、岩槻図書館のお二人と三人官女よろしく、楽しく、かしましく、ブックトークをお届けします。さて今回、お雛様にちなんだ絵本をたくさんご用意いただいていますが、いろいろな切り口があってどれをご紹介するか迷いますね。
私のおすすめはこれ、「もりのひなまつり」です。 のねずみたちに頼まれ、お雛様たちが子ども会のひなまつりに出席するため森に出かけます。楽しい時間を過ごし、家へ戻るのですが、途中で雪が降り出してしまい、家に戻った時にはすっかりボロボロに・・・・。という内容のお話です。
このままじゃ、お家のひなまつりにはとても出られない!どうしよう! この大ピンチを救ってくれるのが、ねずみのおばあちゃん。その活躍ぶりについては絵本でご覧いただくとして(笑)。ここで登場するのは、親王、三人官女に五人囃子、右大臣・左大臣、仕丁(しちょう)たちが揃った伝統的な七段飾りのお雛様。その表情や着物、お道具まで細かく丁寧に描きこまれていて、見ているだけでも楽しいでしょう?
子どもってこういう描き込まれた絵本が好きで、うちの子たちにも、よく何度も「読んで」とせがまれました。「あ!この子あくびしてるね」とか「こんなところに赤ちゃんがいるよ」とか、大人が見逃してしまうような細かい部分まで本当によく見ていて、探し絵的な楽しみ方ができるのも、この絵本の大きな魅力です。
ところでこの物語ってお雛様の持ち主にとっては、“お雛様を出す直前のお話”になるわけですよね?持ち主の知らない所で人形たちが冒険に出る、という点ではディズニーの「トイストーリー」に共通する楽しさがありますね。うちのお雛様も実はもしかしたら・・・なんて想像するとなんだかワクワクします。
そうですね。そういう点では、お雛様を出す直前にこの本の読み聞かせをすると、ひな祭りの準備が楽しくなるかもしれませんね。 読んだ後、子供たちが「うちのお雛様はどうかな?」と思ったところで、「よし!じゃあ、今から出してみようか!」という流れなんてどうでしょう?
ああ!それいいですね。「もしかして、うちのお雛様もお出かけしていたかも!お顔や着物に泥がついていないか、よくチェックしよう!」なんて言いながら、ウキウキしながら出してくれそうですよね。
商品チェックみたいに裏側までひっくり返して見ちゃったりして(笑)。 そっかー。1年のうちお雛様に会える時間って実は1ヶ月にも満たなくて、お雛様にとっては押入れで過ごす期間の方が圧倒的に長いんですよね。そう考えると、シーズンオフにお雛様が何をしているのか、いろいろ親子で想像してみると楽しいかも。

ふふふ。そんなシーズンオフのお雛様が気になるMさんにおすすめしたいのがコチラ、「ひみつひみつのひなまつり」です。こちらも「もりのひなまつり」同様、ひなまつり前のお雛様が大変なことになっているのですが、これがもう本を開いてビックリ!
うわっ!これは大変! どうなっているのかはネタバレになってしまうので、ここで書くことはできませんが、うーん、確かにこれでは、ひな壇には登れませんねぇ(笑)
でしょう?初めてこの本を見た時、タイトルからして「お雛様に関する秘密だろう」とは思ってはいたものの、まさかこんなことになっているとは!あまりの予想外ぶりに思わず爆笑してしまうのですが、晴れ舞台を前に、同じ女性としてこれは笑いごとではすまされない大変な事態ですよね。
お雛様がどうなってしまったのか?そして、どうやってひなまつりに間に合わせるか?続きはぜひ絵本でお楽しみください! 「もりのひなまつり」では蔵にしまわれていたお雛様ですが、この絵本では押し入れから出てくるあたりが今風で、子供にとっては親しみやすさを感じるかもしれません。
核家族化やマンション住まいで、飾る場所もしまう場所もなかなかとれないお家が増え、「親王飾り」のようにお雛様もコンパクト化してきていますもんね。 先の2つの絵本に登場する「十五人飾り(七段飾り)」を一般のご家庭で見る機会も、昔に比べずいぶん減ってきた気がします。

そうですね。仕方がないことではありますが。ただ、コンパクト化によって道具や飾りが減ることで、人形や道具の名前、飾り方のルールも忘れられてしまうのは寂しいですね。そこで最後に人形の町、岩槻図書館としてぜひおすすめしたいのが、コチラの「ならんだならんだ!おひなさま」です。
岩槻にある人形屋さん(人形の東玉)が監修した、お雛様ができあがっていく工程が子どもにもわかりやすく描かれている絵本です。道具の名前など、マメ知識も盛りだくさんで、人形の町の図書館としては、ぜひ読んでいただきたい1冊です。
そういえば私が子供の頃、お雛様を飾るのを手伝いながら「左近の桜・右近の橘だから、桜はこっちに置くのよ」なんて母に教わった記憶があります。 (ページをめくりながら)へぇ、下の段に飾るお道具の名前も載っているんですね。え、コレ、お針箱だったんだ!そうそう、子どもの頃、このタンスの引き出しが一つ一つ開くのに感動したっけ。懐かしいなぁ。
ぜひこの絵本を通じて、十二単の着物から小物まで、何人もの職人さんが一つ一つ丁寧につくりあげていく、ひな人形づくりの技や歴史に触れていただき、母から娘へ、絵本をはさんで親子の楽しい会話とともに、日本の伝統文化を引きついでいただけたらうれしいですね。
今回セレクトしていただいた本
もりのひなまつり ひみつひみつのひなまつり ならんだならんだ!おひなさま
「もりのひなまつり」
作・絵:こいで やすこ
出版社:福音館書店(2000年)
価格:800円(税別)
「ひみつひみつのひなまつり」
作・絵:鈴木 真実
出版社:講談社(2015年)
価格:1,500円(税別)
「ならんだならんだ!おひなさま」
作:中島 妙
絵:奥村 かよこ
監修:戸塚 隆(人形の東玉)
出版社:ひさかたチャイルド(2005年)
価格:1,500円(税別)

※全てさいたま市の図書館で借りることができます