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今回は、「絵本で楽しく!ひなまつり」で登場していただいたT井さんとK子さんに、もうすぐ司書歴30年のC野さんを加えた、岩槻図書館が誇る“おはなし会のベテラントリオ”をお迎えしてのブックトーク。「おはなし会で読み聞かせに挑戦してみたい!」「読み聞かせ初心者でも必ずウケる絵本が知りたい!」という方のための、とっておきの絵本をご紹介いただきます。 |
今回のブックトークゲスト | |
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![]() さいたま市立岩槻図書館 |
司書歴13年。6歳の女の子と3歳の男の子のママ。手遊びうたやわらべ歌が得意で、子どもたちをのせるのが上手く、岩槻図書館児童サービスの要的存在。絵もおはなしも“パンチ”のある作品の絵本が大好き。 |
![]() さいたま市立岩槻図書館 |
司書歴22年。好きな絵本はナンセンス絵本。オールマイティーに仕事をこなし、何でも相談できる頼れる児童サービス係の元締め的存在。物知りでしっかり者のイメージに反して、おっちょこちょいな一面もある愛されキャラ。 |
![]() さいたま市立岩槻図書館 |
司書歴29年、おはなし会では数少ない男性語り手もこなす、本選びのスペシャリスト。人形劇や紙芝居の面白さには定評があり、子どもの心をつかむのが上手。好きな絵本はナンセンス系の絵本。大学生の息子と娘を持つ父である。 |
※プロフィール内容は取材当時のものです
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「ねえ、どれが いい?」 作・絵:ジョン・バーニンガム 訳:まつかわ まゆみ 出版社:評論社(2010年) 価格:1,500円(税別) |
「どうする どうする あなのなか」 作:きむら ゆういち 絵:高畠 純 出版社:福音館書店(2008年) 価格:1,300円(税別) |
「これはのみのぴこ」 作:谷川 俊太郎 絵:和田 誠 出版社:サンリード(1979年) |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます
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今回は、岩槻図書館が誇る“おはなし会のベテラントリオ”がゲストということで、「おはなし会」での絵本選びについてお話をうかがいたいと思います。「おはなし会」のような“大勢の子どもたちの前での読み聞かせ”となると、親子での読み聞かせと違い、やはり練習やテクニックがないと盛り上げるのは難しいものでしょうか? |
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たまに、テレビやイベントなどで役者さんの読み聞かせを目にしますが、学校や図書館での「おはなし会」では、あそこまで感情を込めたり、役を演じたりはしません。そういう意味では特別すごいテクニックとかはないと思いますし、本を上手く選べば、初心者でも結構盛り上げられると思いますよ。 |
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え?読み聞かせの初心者でも盛り上げられる絵本ってあるんですか? それはぜひ教えてください! |
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では私からのとっておきの1冊はコレ、「ねえ、どれが いい?」です。「ねえ、もしも、きみの家のまわりが洪水とジャングルと大雪だったらどれがいい?」みたいな“ありえない選択肢”がどんどん出てくる楽しい絵本です。子どもたちが一緒に参加できるので、幼児から小学校高学年までほぼ間違いなくウケます。それはもう、教室がわーっと大騒ぎになってしまうくらい(笑)。 |
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ストーリーものと違って、会話や想像のきっかけだけで構成されているから途中をとばしてもオッケーだし、子どもたちの対話で時間をのばすこともできる。おはなし会の時間調整にはもってこいの絵本なので、おはなし会をやっている図書館員なら知らない人はいなんじゃないかな? |
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1つのクエスチョンが出ると教室のあちこちから、「私〇〇がいい!」「ボクは〇〇!」といった具合に子どもが勝手に盛り上がってくれるので、読み聞かせが苦手、という方にもオススメの絵本ですね。 |
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ネタバレになってしまうので詳しい内容はここでは書けませんが、どれもこれも、奇想天外でユニークな選択肢ばかり。大人が読んでも「えー!」「やだー!」と思わず声をあげてしまいそう。幼児から小学校高学年までウケる、というのもなるほど、これならうなずけます。 |
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場をあたためる役割にもピッタリな絵本なのですが、難点は盛り上がりすぎてしまうこと。怖い話やしっとりした話の前にはオススメできません。最後は楽しい雰囲気で終わらせたい、という場合にはおはなし会の最後にもってくると良いと思いますよ。 |
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では私からはコレ、「どうする どうする あなのなか」を。これは「ねえ、どれが いい?」とは違いちゃんとしたストーリーがあります。表紙からもわかるように、穴に落ちてしまった2匹の山猫と3匹の野ねずみが、穴から出るために「どうする?どうする?」と考えていく、というお話なのですが、これも、おはなし会で盛り上がる絵本です。 |
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縦開きというちょっと変わった形状も、この絵本の魅力のひとつ。横長で横開き、という絵本はわりとありますが、縦長の縦開きというのは、あまり見ないのでインパクトがありますよね。縦に長く絵を描くことで穴の深さが見事に表現されていて、形状をうまく活かしたおもしろい絵本だと思います。 |
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5匹で助け合うといっても、しょせん猫とネズミは敵同士。どの順番で乗るかを話し合うものの、どの案もそれぞれ問題アリでなかなかまとまらないわけです。猫が先に出ればネズミが食べられ、ネズミが先だと逃げられてしまう。 |
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あ!頭の体操なんかで、羊と狼を船で運ぶ、みたいな問題がありますが、まさにアレみたいですね!「このやり方は?」「ダメだ~!」とか、読んでいる途中で子どもたちからも声があがりそう。 |
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そうなんです。子どもたちも、「もしこうだとしたら、どうなる?」と推理し出して、誰かが仮説を立てると「それじゃ、ネズミが食べられちゃうよ~」と問題点を指摘する声が出てきますね。ただ「猫がネズミに乗れるわけないじゃん!」という現実的で冷めた意見が出てしまうと、お話の面白さが半減してしまうので、高学年の読み聞かせとなると微妙かもしれませんが・・・。 |
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私が小学校2年生のおはなし会で読んだ時は、子どもたちの反応も良く盛り上がりました。確かに頭の体操のような所はあるものの、お話のオチは別なところにありますので、5匹が最後にどうなるのかはぜひ絵本を手にとってお楽しみくださいね。 |
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最後に私からは、これもおはなし会では定番の「これはのみのぴこ」を。 「これはのみのぴこ」から始まり、前の文に次の文が重なって増えていく“言葉あそび”的な絵本なのですが、子どもたちはすぐにこのルールに気づいて一緒に読み出し、この本を知っている子が多いと、教室の全員で読む展開になることも(笑) |
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教室全員での大合唱ならぬ、大朗読だ(笑) すごい!私もおはなし会でそんな一体感を体験してみたいです! 何か読み方のコツとかありますか? |
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最初こそ「これはのみのぴこ」の一文だけですが、どんどん増えていって最後は1ページいっぱいの文字になりますから、一気に読むなら思い切り大きく息を吸って覚悟して読みましょう。そうでないと途中、息切れでヘロヘロになっちゃいます。(笑) |
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読み方の演出は人によっていろいろですが、わりと多いのは、重なっている部分の文章をわーっと早口で読んで、追加になる文だけをゆっくり読むスタイルですね。 |
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一気に読むのが辛い、というのであれば二人で交代で読むのもアリだと思います。読み聞かせに、コレでなくては、というルールはありません。あまり固く考えず、自由な発想で子どもたちと一緒におはなし会を楽しんでくださいね。 |
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「ねえ、どれが いい?」 作・絵:ジョン・バーニンガム 訳:まつかわ まゆみ 出版社:評論社(2010年) 価格:1,500円(税別) |
「どうする どうする あなのなか」 作:きむら ゆういち 絵:高畠 純 出版社:福音館書店(2008年) 価格:1,300円(税別) |
「これはのみのぴこ」 作:谷川 俊太郎 絵:和田 誠 出版社:サンリード(1979年) |
※全てさいたま市の図書館で借りることができます