マダガスカル原産で、人気を集めているオペルクリカリア・パキプス(通称 パキプス)。
パキプスは比較的高い価格で取引されており、その理由が気になるところ。
今回の記事では、パキプスが高価である理由についてまとめました。
オペルクリカリア・パキプスが高価な理由は?
そもそも希少性が高いから?
オペルクリカリア・パキプス(以下、パキプス)は、マダガスカル南部の乾燥地帯に自生する非常に珍しい塊根植物です。
この地域は特有の生態系を持ち、降水量が少なく、乾燥と高温が続く過酷な環境です。
そのため、パキプスはこうした極限的な環境に適応しており、分厚い塊根で水分を蓄え、乾季を耐え抜く能力を進化させました。
しかし、この特定地域に依存する生育環境は、環境破壊や乱獲の影響を大きく受けます。
例えば、マダガスカルでは近年、農地開発や違法伐採が進んでおり、森林破壊が深刻化しています。
その結果、パキプスを含む希少な塊根植物の自生地が縮小し、個体数が減少しているのが現状です。
さらに、マダガスカルから輸出されるパキプスは、ワシントン条約(CITES)の附属書に掲載されており、輸出入には厳しい規制がかけられています。
野生の個体の取引は基本的に禁止されており、栽培株の輸出に限られていますが、それでも供給量は非常に限られています。
このように、生育環境の特殊性と規制による供給制限が、パキプスの希少性と高価値を支えているのです。
栽培が難しく、成長も遅いから?
パキプスは塊根植物の中でも特に成長が遅いことで知られています。
種から育てる(実生)の場合、塊根が十分な大きさに成長し、見た目に美しい樹形を形成するまでには10年から20年以上の時間が必要です。
この成長の遅さは、多くの栽培者にとって大きな課題であり、その間の管理コストや時間的投資が価格に反映されています。
難易度も高いから?
パキプスを種子から育てるには、様々な条件をクリアすることが求められます。
・発芽に適した温度管理(25〜30℃程度)
・適切な湿度バランス(湿りすぎると腐敗、乾燥しすぎると発芽しない)
・害虫や病気の予防
これらの条件を満たしても、パキプスの発芽率は一般的に20〜30%程度と低く、成功するまでに多くの試行錯誤が必要です。
また、発芽後も成長が非常にゆっくりなため、見た目に価値が出るまで長期間の管理が必要となります。
さらに、栽培方法としては実生のほかに、接ぎ木があります。
接ぎ木は成長スピードが速く、流通までの時間を短縮できますが、自然な塊根の形状を完全に再現することは難しいため、コレクターの間では「価値が低い」と見なされることがあります。
このため、より時間と労力を要する実生株の価格が高騰するのです。
輸入のリスクも高いから?
パキプスが輸入される際、輸送中のストレスや管理不足により、多くの個体が状態を悪化させるリスクがあります。
特に根の状態が悪化すると、輸入後に活着(根付くこと)が難しくなり、最悪の場合、枯死することもあります。
長時間の輸送中に適切な温度・湿度を維持する必要があり、輸送前に行われる土壌の除去や検疫手続きが植物に大きなストレスを与えることもあります。
また、現地での採取時に根が傷つくことが多かったり、輸入業者の報告によれば、輸入されたパキプスの活着率は平均で10〜20%程度とも言われており、多くの個体が市場に出る前に失われてしまいます。
こうした高いリスクが、活着した健康な株の希少性を高め、その価格に反映されています。
需要が増加しているから?
近年、塊根植物(コーデックス)全般に対する人気が世界的に高まっています。
特に日本では、独特な形状を持つ塊根植物が「インテリアグリーン」としても注目され、観賞価値が高い植物として広く受け入れられています。
InstagramやYouTubeなどのSNSでは、多くの愛好家や専門家がパキプスを紹介しており、その魅力が広く共有されています。
こうした情報の拡散は、特に若い世代の新規ファンを増やす一因となっています。
例えば、ハッシュタグ「#塊根植物」「#パキプス」には多数の投稿があり、見た目の面白さや育成の楽しさが多く語られています。
投資対象としての側面もあるから?
一部の愛好家の間では、パキプスが投資対象としても注目されています。
希少性や時間の経過による価値の上昇を期待し、高価な個体を購入する人も増えています。
このような「投資目的」の購入が市場価格を押し上げている面も見逃せません。
例えば、10年前には数万円だった株が、現在では数十万円で取引されるケースもあり、その資産価値が再評価されています。
まとめ
オペルクリカリア・パキプスの価格が高い理由は、その希少性、成長の遅さ、輸入リスク、人気の高まり、栽培者の労力、そして投資対象としての需要など、多くの要因が複合的に絡み合っています。
パキプスを購入・育成する際は、信頼できる業者から入手し、正しい知識を持って管理することが大切ですね。